「星に願いを」
七海も直人も弥生も茂も孝弘もそれぞれの家へと帰り、遙も伊地知さんも何処かへといなくなってしまい、こうして僕はスクールで、唯と柚木さんとの三人だけで過ごすこととなった。少し寂しい時もあるけれど、いつかきっと会えるような気がするし、その時が来ると信じている。
そして僕は今何をしているかといえば、ベッドの上で膝を抱えて丸くなっている。
時計は見ていないけれどたぶん30分くらい前だろう、いろいろな事を考え始めたら眼が覚めてきてしまい、どうにも眠れなくなったのでなんとなく起きてみることにして、そのままずるずると考え事をしている。
これまでのこと。これからのこと。そして今この瞬間のこと。ぼんやりと考えているうちに、僕は一つのところに想い当たった。
僕は、唯を、守れなかった。
ずっと守りたいと思っていた。だけど、
初めて海に行ったときも、ナイフを持った男が現われたときも、乗っていたコクーンがものすごい数のバグスに囲まれたときも、
結局、守れなかった。
ずっと唯を守りたいと願っていて、だけど僕は、何もできなかった。
それでも唯は、いつも僕の傍にいてくれた。いつも僕の傍で、笑っていてくれた。僕がどんなに弱くても、いつでも僕の隣にいてくれた。そして僕は、それだけで充分だった。他には何もいらなかった。あの頃は、唯がいただけで幸せだった。
そして今も、唯がいるから幸せだ。
だから僕も、唯にとっての幸せでありたい。守ることができなくても、傍を一緒に歩いて、唯が転んだときには手を差し伸べるくらいのことは、転びそうになったら支えるくらいのことは、せめてそのくらいのことはしたい。
ふと、窓の外を見る。
幾つあるのか数え切れない星の中に、赤い星がある。前に見た時よりも随分と小さく見えるようになってしまったけれど、それでもひときわ赤く光る星がある。
唯と一緒に見上げた星、夜空にぽつんと赤い輝きを放つ火星に、僕は祈る。
守れなくてもいい、どうかずっと唯の傍にいさせておくれ――と。
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