*/君●風<七海の思い>/*
一枚の扉の中から聞こえてきた何気ない会話。
その一言一言が七海の手を足をその場へ見えぬ杭で打ちこんだ。
「起きちゃたんだ・・・」
ぼそりと呟いた。
「もう、やめなくちゃ」
「これで終わり」
「終わりにしないと・・ じゃないと戻れなくなる」
「でも、唯になんて言い訳すればいいの」
「私寂しかったのって言えば許してくれる」
「わかってる」
「私ならゆるせない」
・
・
・
天井を見上げると、切れかかった蛍光灯がチカチカと囁きながら点滅を繰り返していた。
「はぁ〜、ずるいな私」
「本当にずるい」
「唯がこのままだったらいいのにって思ってた。このままでず〜といられると」
「でも、だめなんだ・・よね」
「拓己は唯のものなんだよね」
疼く手首を片手で押えると、拓己の横顔が浮かぶ。
横に座った顔、困った顔。それにうれしそうに話し掛ける顔。
そして私の疼きを痛みを理解してくれる拓己。
「駄目! 私だけ見ていてとは言わない、私も見てくれればそれだけでいいの」
「唯になんか負けない、この思い私だって負けない」
「誰だってそう思うよ」
「ねぇ、誰だって」
「唯ごめん」
七海はのろりと立ち上がると、水が満たされたバケツを震えている手で取った。
※Re-written Short Story "AWAKE"
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